先日、友人から「骨って折れると強くなるんだよね?」と聞かれました。
このような話、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかし、実際のところはと言うと…そんなことはありません。
今回の質問に限ったことではないですが、体の仕組みに関して意外と間違って認識されていることが多い印象を受けます。
ですので、今回は意外と間違えて認識されている体の仕組み(今回は骨折や骨の仕組み)に関して、正しい知識を豆知識としてご紹介していきますね。
この記事の目次
骨折って?
骨折と言うと、文字通り骨が折れることを意味しますが、骨折にも色々と種類があります。
「ポキッ」というように完全に骨が折れてしまう”完全骨折”と、完全に折れない”不全骨折”です。
不全骨折はひびが入る、凹む、つぶれるといったように、割れ目が入ったり骨の形状が変わってしまう状態を言います。
若い子供などでは、”ぐにゃり”といった感じで骨が曲がってしまうこともあるんですよ。
しかし、これも立派な骨折(不全骨折)になります。
骨折してしまう主な原因は?
骨折してしまう原因は、細かく分類するとたくさんありますが、大きく分けて3つです。
・外傷性骨折(がいしょうせいこっせつ)
転倒や転落、衝突そして交通事故といった外傷で起こる骨折です。
・疲労骨折(ひろうこっせつ)
スポーツや仕事などによって同じ個所に集中した力が加わり、ダメージが蓄積されてやがて起こる骨折です。
・病的骨折(びょうてきこっせつ)
骨粗鬆症(こつそしょうしょう:骨がもろくなる症状)、骨腫瘍(こつしゅよう:骨に腫瘍ができる病気)などの病気が原因となり、骨の強度が低下して起こる骨折です。
どいう症状なの?
完全骨折の場合は内出血し、熱を持ってかなり腫れます。
激痛のため動かすことが困難で、骨折した部分が転移してしまう(ずれてしまう)と視覚的にすぐに骨折しているとわかります。
※しかし、脱臼(だっきゅう)や重症な打撲(だぼく)でも似た症状が見られることがあるので、骨折を正確に判断するにはレントゲンを撮る必要があります。
不全骨折に関して。ひびが入る場合は熱をもって腫れるというのは共通していますが、凹んだりつぶれたりする場合は内出血は見られなく、痛みを感じるだけのことの方が多いです。
どのくらいの期間で骨はくっつくの?
骨折をした際、”全治〇ヵ月”といった言葉を聞くことがあると思いますが、これはあくまでも全治なので、日常生活を不自由なく送れるようになるための目安です。
つまり、骨がくっつく目安の期間ではなく、普段の生活に戻れるための目安になります。
では、骨はどのくらいの期間があればくっつくのかと言うと、骨折する骨によってそれぞれ違ってきます。
一番早くくっつく骨は手足の指の骨で、一番時間がかかってしまう骨は太ももの骨の付け根(大腿骨頚部:だいたいこつけいぶ)です。
では、”骨が早くくっつくランキング”と称してご紹介しましょう。
1位:指骨(しこつ):手足の指の骨 → 2週間
2位:肋骨&中手骨(ろっこつ&ちゅうしゅこつ):あばら骨&手の甲や足の甲の骨 → 3週間
3位:鎖骨(さこつ) → 4週間
4位:前腕骨&腓骨(ぜんわんこつ&ひこつ):肘から手首にかけての2本の骨&膝から足首のかけて2本ある細い方の骨 → 5週間
5位:上腕骨(じょうわんこつ):肩から肘にかけての骨 → 6週間
6位:脛骨(けいこつ):膝から足首にかけてある2本の太い方の骨 → 7週間
7位:大腿骨(だいたいこつ):太ももの骨 → 10週間
8位:大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ):太ももの付け根の骨 → 12週間
骨折や骨の正しい豆知識を知っておこう
冒頭でお話しましたが、友人が「骨って折れると強くなるんだよね?」といった間違った認識。
こういう間違った認識は色々とあります。
これから意外と間違って認識されている骨折や骨に関して、正しいことをお話ししていきますので、今回で正しい認識として豆知識にしていきましょう。
豆知識1 複雑骨折を勘違いしてませんか?
テレビのニュースで、アナウンサーがこんなことを言っているのを聞いたことないでしょうか?
「…足を複雑骨折したもようです」
非常に痛そうですよね、複雑なわけですから…
ちなみに複雑骨折と聞くと、みなさんはどうイメージしているでしょうか?
おそらく間違って認識されているのではないかと思います。
と言うのも、アナウンサーは間違って報道してしまっていることが多々あるからです。
ちなみに複雑骨折は、複雑に折れてしまうことを意味するわけではありません。
複雑骨折は、骨が皮膚を突き破ってしまったり、骨が外から見えてしまう状態を言います。
ですので、複雑骨折はぐちゃぐちゃになってしまうような骨折ではないということです。
豆知識2 骨折すると骨は強くなるの?
骨折すると、「折れた部分が強くなるから折れにくくなるよ」、こんなことを耳にすることがあります。
しかし実際はと言うと、そんなことはありません。
骨折が治っていく過程で、確かに折れた部分は太くなります。
しかし、折れた部分が太くなったとしても、やがては時間の経過とともに元の太さに戻ってしまうんです。
折れた部分も折れる前と同じ状態に戻るだけなので、強くも弱くもならないというのが本当のところになります。
豆知識3 カルシウムで骨が強くなるって本当?
「牛乳を飲むと身長が伸びる」とか「小魚を食べると骨が強くなる」ということを聞いたことがあると思います。
牛乳にしても小魚にしても、カルシウムが豊富ですよね。
実際のところ、身長が伸びたり強くなるためには、確かにカルシウムを摂取しないといけません。
しかし、牛乳や小魚を食べてカルシウムだけを摂取しても骨は強くならないんです。
なぜならカルシウムを吸収するには、他にセットで必要なものがあるからです。
そのセットとして必要になるものと言うのが、ビタミンDと紫外線になります。
カルシウムを体内に吸収するためには、ビタミンDが無いと吸収することができません。
そして、ビタミンDを体内で作るためには紫外線を浴びることが必要になります。
みなさんは子供の頃に「お外で遊びなさい」と、両親に言われた記憶がないでしょうか?
こういったことからカルシウムだけを摂取しても骨は強くならなく、紫外線とビタミンDがセットで必要だと言うことです。
ちなみにビタミンDを多く含む食品はと言うと、魚介類やキノコ類などになります。
豆知識4 身長がまだ伸びているんですが、何か?
職場や学校で健康診断がありますよね?
その際、身長や体重を計ると思いますが、「まだ身長伸びてるんだよね」なんていうことを、職場の人や友人が言っているのを聞いたことがあると思います。
身長が伸びていると確かにうれしい気持ちになると思いますが、基本的に身長は10代後半で止まります(人によっては20代になってもまだ伸びる方はいます)。
つまり成人する頃には、骨の成長は止まってしまうということです。
そもそも骨が伸びるのは、骨の端っこの方に骨端線(こったんせん)という軟骨があり、その骨端線があるから伸びる仕組みになっています。
しかし、10代後半になると骨端線が軟骨から骨へと変わってしまうので、骨が伸びなくなって身長が止まってしまうということです。
ですので、20代半ば以降で骨が伸びることはありえないんですね。
20代半ばになっても身長が伸びていると言っている人がいたら、おそらく身長を計測した人の計り方が原因でしょう。
まとめ
今回は骨折や骨に関するお話をしました。
骨折してから骨がくっつく期間は、折れる骨によって違うということでしたね。
それから豆知識もいくつかご紹介しました。
今回ご紹介した豆知識は、巷で間違って認識されていることなので、今回を機にしっかりと正しい知識を身に付けて頂き、間違って認識している方に教えてあげて下さい。
きっと物知りだと思われますよ。
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