特にこれといった思い当たる原因が無いのに、肘をぶつけたり、物を持って指を動かした際に肘に痛みを感じた経験はないでしょうか?
実はこれ、テニス肘かもしれません。
「私テニスなんかしてないけど!」と、いう方もいると思いますが、皆さんが特に意識していない日常生活の中での動作がテニス肘の原因になっているんですよ。そこで今回は、テニスをしてないのにテニス肘になってしまう原因と、対策に関してお話していきましょう。
この記事の目次
テニス肘って何ですか?
テニス肘とは上腕骨外側上顆炎のことで、肘の外側に痛みが発生する症状を言います。
誰にでも受傷する可能性があるため、医療機関で比較的来院頻度が高い症状なのですが、レントゲンを撮っても異常は見られなく、また、特に見た目も変わったことはないことがほとんどです(まれに腫れていることはあります)。
重病ではないですが、日常生活を送るのに痛みのせいで色々と不便なのことが多く、非常に困る症状だと言えます。
どのような症状ですか?
基本的は肘の外側の痛みですが、重症になると肘から手首にかけても痛くなります。
テニス肘の主な症状としては、動作時痛と圧痛です。
・動作時痛
肘の曲げ伸ばしで痛みが出ると思われるかもしれませんが、テニス肘は手首や指を動かす時に肘に痛みが現れます。
手首を上(手の甲側)に反らしたり、手首を外側にひねった時などの動作になるのですが、日常生活ではぞうきんを絞る、ドアノブを回すなどが主に痛みを感じやすい動作になります。要するに肘の曲げ伸ばしで痛みが誘発されるのではなく、手首や指を使う動作で痛みが出るということですね。
・圧痛
肘の外側(筋肉の付着部)を押すと、圧痛があるのが特徴的です。
どういった原因でなりますか?
手首を反らしたり、指を伸ばしたりする際に使う筋肉が肘の骨に付着しているのですが、その筋肉の付着部が反復して刺激を受けることによって炎症を起こし、痛みを生じてしまいます。
症状名からテニスが原因になりそうなのは何となくわかると思いますが、基本的には手首や指を酷使する動作であれば受傷の原因になります。では、具体的にどういった動作が原因になってしまうのか?日常生活での動作を見ていくと以下の状況が考えられます。
・家事
・育児
・仕事
・スポーツ
家事
家事で主な原因となるのは、掃除の際にぞうきんを絞る、料理の際にフライパンを持つといった動作が挙げられます。
ぞうきんを絞る動作は手首をひねることになり、テニス肘の原因となる筋肉が伸ばされて筋肉の付着部にストレスを受けるることになります。また、フライパンを持つということも手首を反らして筋肉が緊張状態で伸ばされることになるので、筋肉の付着部にストレスがかかることになります。
家事は毎日行うものなので、継続して負担がかかりやすいと言えるでしょう。
育児
育児で主な原因となるのは、子供の抱っこが挙げられます。子供の首がまだ据わっていない時期は、首が安定せずに抱っこしづらいため、手だけで子供の体重を支えがちです。
手だけで子供の体重を支えるのは抱っこの仕方的に問題があり、腕全体を使えていないことになります。つまり、手首で子供の体重を支えることになるので、結果的に肘の筋肉付着部を痛めてしまうことに繋がってしまいます。
仕事
パソコンを使用する仕事をされている方、はさみで指を酷使する美容師、フライパンを振る料理人など、手首や指を酷使する職業の方に多くに見らます。キーボードのタイピングは重い物を持つわけではないので、大したストレスがかかっていないように思えますが、手首を反らして指を動かすことになるため、肘の筋肉付着部に負担がかかります。
余談になりますが、ここ十年でパソコンを使用する人が急増したため、テニス肘になってしまう方の割合もかなり増えています。
スポーツ
テニス肘という症状名ですので、テニスは原因として最も多いスポーツの1つになります。バックハンドでボールを打ち返す際、ラケットを介して手首に衝撃が伝わり、その衝撃が筋肉の付着部にストレスとなってしまうためです。
その他のスポーツでもテニス肘になりますが、例えばバトミントンや卓球といったラケットスポーツでも受傷することが比較的多いです。受傷する原因はテニスと一緒でラケットにボールがミートする際に、手首に受けた衝撃がそのままストレスとなって筋肉付着部に及んで痛みを発生させます。
テニス肘になったらどうすればいいですか?
基本的に痛みが出始めた急性期は、炎症期になりますので熱や腫れなどが見られることが多いと言えます。ですので、なるべく手首や指を動かさないようにして安静にし、氷のうなどで患部をアイシング、そして肘をサポーターなどで圧迫固定することで炎症が引いていくことになります。
※肘のサポーターを間違えて身に着ける方が多いので注意して頂きたいのですが、サポーターは痛みある場所に付けるのではなく、痛みのある場所から3~4センチ手首側にずらして付けないと意味をなしません。
痛みのある場所から3~4センチ手首側の所を圧迫することで、テニス肘の原因となる筋肉のストレスを軽減することができます。
日常生活で気を付けることってありますか?
日常生活で気を付けて頂きたいこととして、痛める原因となる動作はしないことが大事です。と言っても、家事は毎日しなければなりませんし、仕事も休むわけにはいきませんよね。
どうしても原因となる動作をしなければいけないのであれば、患部にサポーターを装着することで多少の対策になりますが、それでは満足とは言えません。そこで先ほどテニス肘になってしまう原因ものとして、家事、育児、仕事、スポーツを挙げましたが、それぞれ気を付けて頂きたいことを説明していきましょう。
・家事
ぞうきんを絞る、フライパンを持つことが原因になりやすいので、どうしてもぞうきんを絞らなければいけないのであればいつも絞る方向と逆に絞ることです。そうすることでぞうきんを絞っても患部にストレスはかかりません。
また、料理でフライパンなどを持たなければならないのであれば、逆の手で持ったり両手で持って負担を無くしましょう。
・育児
手首に負担がかかる抱っこをしないよう、子供の抱き方を工夫する必要があります。なるべく腕全体で子供の体重を支えるような抱き方が望ましいのですが、例えばクッションやバスタオルなどを子供の下に敷き、簡単に子供の位置を調整できるようにすると、腕や手首への負担が軽減されます。
・仕事
パソコンのタイピングは比較的長い時間になることが多いので、手首を長時間反らして指を動かすことになってしまいます。
その動作が筋肉付着部にストレスを生む原因となっているので、手首の下にクッションや丸めたハンドタオルを入れ、手首を反らさないようにすることでストレスを軽減することができます。
・スポーツ
テニスやバドミントンであれば、ガットの硬さをやわらかくして衝撃を少なくするといいでしょう。また、テニスのボールが公式のものを使用しているのであれば、軟式のボールにしてインパクトの衝撃を和らげるというのも対策になります。
まとめ
今回はテニス肘(上腕骨外側上顆炎)に関してお話ししましたが、テニスだけが原因ではなく、日常生活の中で原因となるものはたくさんあるということです。
基本的には、手首や指を酷使する動作であればテニス肘の原因になります。
少しでも肘の外側に痛みを感じてきたなら、炎症の出始めになりますので、安静とアイシングを心がけることが大切です。どうしても痛みがある中でその動作をしなければならないのであれば、サポーターを装着するようにしましょう。
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